女川にはボクが最も足繁く訪れた
とても小さな砂浜があった。
全長100メートルほどのその砂浜は入江になっていて、
陸に通じる道は無く、
岩場伝い、
或いは泳いでしか辿り着けない場所にあり、
訪れる人などありえようもなく、
ボクらだけの絶好のプライベートビーチとなった。
岩場一面に群がるウニは
潜ることなしに捕れるほどで、
砂浜ギリギリのところまで群れを成した小魚たちが、
その透明な身体を輝かせて泳ぎ回っていた。
ところが、
そんなパラダイスにも
決定的な欠点があった。
。。。そう、
目と鼻の先に、
まるで要塞の如く原子力発電所がそびえていたのだ。
発電所の建設が決定的となった当時、
地元の人たちはどれだけの憤りを感じたことだろう。
今想い起こしても胸が痛む。
なぜ女川でなければいけなっかたのだろう。
他にも候補地はいくらでもあっただろうに。。。
よりによって、地元きっての漁場を選ぶとは。。。
全く理解に苦しむ。
。。。とは言え、
そんな人間の思惑など意にも介さぬ佇まいで、
女川の大自然は今も変わりなく、
潮風が心地良く頬を撫でていくのであった。。。
